フランス語学習館 
はじめに
フランス語の特徴
文字の読み方
発音と正書法
入門会話表現
基本単語(1)
名詞・冠詞・前置詞
基本単語(2)
形容詞
基本単語(3)
代名詞
基本単語(4)
動詞
基本単語(5)
副詞・接続詞・間投詞
基本単語(6)
フランス語の構文
基本単語(7)
日常会話表現
前のページ:はじめに

このウェブサイトの目標

語学の勉強には、目標設定が必要です。これはなぜでしょうか?

私たちは、母国語の日本語でも、日々新しい言葉に接し、それを吸収しています。にもかかわらず、広辞苑や大辞林のような大きな国語辞典を開くと、知らない言葉がたくさん載っています(「たほいや」はそれを利用した遊びです)。つまり、語学というのは、基本的に限りなく学ぶことがたくさんあり、一生かかっても一つの言語の「すべて」を学びつくすことは不可能なのです。

ですから、一つの言語を学ぶときには、「どれくらいまでこの言語を学ぶか?」という目標を設定しておかないと、文字通りキリがなくなってしまうのです。

そういう意味で、語学の勉強の際には、目標設定をしなければなりません。語学を学ぶ側はもちろんそうですが、語学を教えるほうも、学ぶ側がどれくらいまでできるようになればよいかという目標がないと、カリキュラムの組みようがありません。ここで話をしているのは、そのような意味での目標です。

おそらく、昨今日本の英語教育が迷走しているのも、明治以来の「欧米の技術と文化の吸収するために専門書を読めるようになる」という目標が現代のわが国の現実に合わなくなってきており、「読解」と「会話」(あるいは「読解と会話の両方」)のいずれに目標を絞るか、という点についてコンセンサスが成立していない点が原因でしょう。

このウェブサイトの目標

ところで、目標には、積極的目標と消極的目標の二つがあります。

積極的目標とは、「何をするか」ということで、普通「目標」というと、こちらを指します。これに対し、消極的目標とは、「何をしないか」という、いわば消去法的な目標です。

前述の通り、語学においては「どれくらいまでこの言語を学ぶか?」ということが重要となるわけですが、このことを見極めるためには、実はこの「何をしないか」をはっきりさせておくことがとても有効な手段となります。つまり、「何をしないか」を決めると、「何をするか」が自ずと見えてくるということです。

そこで、まずは、このウェブサイトの消極的目標を掲げておきましょう。

第一の消極的目標は、「古語は学ばない」ということです。古フランス語を学ぶことは興味深いことですが、一部の研究者を除いてはほとんど用途がありません。そこで、このウェブサイトでは古フランス語は対象外とします。ただ、現代フランス語の習得に役立つ限りで、ラテン語との関連を指摘することがあります。

第二の消極的目標は、「方言は学ばない」ということです。日本語に方言があるように、フランス語にも方言があります。しかし、方言まで対象にしているとキリがありません。そこで、このウェブサイトでは、標準フランス語を学ぶことに集中します。

第三の消極的目標は、「下層階級の言語は学ばない」ということです。少し言葉がうまくなってくると、ちょっとワルっぽい言葉も使ってみたくなります。しかし、フランスという国は出自によって露骨な差別がある国です。下層階級の話すような下品なフランス語を話していると、下層階級の出身と判断されてしまいます。イヤな目に遭いたくなければ、そのような下品な言葉遣いは避けたほうが賢明です。したがって、このウェブサイトでは、いわば上流~中流の階層の人が話すフランス語を学ぶことに集中します。

以上の目標設定で、このウェブサイトの対象は、現代の上流~中流の階層の人が話す標準フランス語である、ということが明らかになりました。

そこで、今度は、このウェブサイトの積極的目標を設定して、さらに対象を絞り込んでいきましょう。このウェブサイトの積極的目標は、次の2つです:

  • 〔読解力〕フランス語の新聞を辞書をほとんど使わず読める程度のフランス語力をつける。
  • 〔聴解力〕フランス語のニュース番組をほぼ正確に聴き取れるくらいのフランス語力をつける。

ここでは読解力と聴解力の二つを掲げましたが、インターネット時代にきちんと情報を摂れるようになるためには、最低でも読解力と聴解力の二つの語学力は必要です。昔はわが国で接することのできるフランス語情報はほとんど活字情報に限られていましたから、活字さえ読めればよかったのでしょうが、インターネットでマルチメディアがどんどん公開されている現代では、これでは役に立ちません。読解力だけでなく聴解力も必要です。

もちろん、フランス語を話したり(会話力)、フランス語で文章を書いたり(文章表現力)といった力もあるに越したことはありません。しかし、これは読解力・聴解力がきちんとついていれば、あとは体育会系的な反復訓練(会話学校に通う、文章の書き取りをする等)を繰り返せばすぐにできるようになる性質のものです。そういう意味で、ここではあえて読解力と聴解力に絞りました。

ニュース情報を取れるくらいの読解力と聴解力というのは、旅行レヴェルで必要な読解力・聴解力に較べれば、かなり高い目標でしょう。しかし、その反面、トレーニングしやすいという利点もあります。すなわち、インターネットには新聞や雑誌の記事も、テレビのニュース番組も無料で公開されていますから、これらの力はインターネットで鍛えやすいのです。

また、ニュース情報を取れるくらいの語学力があれば、留学して専門的な講義を聴いたり、ビジネスで利用したりするくらいの語学力はついていることになります。そうすると、「大は小を兼ねる」ので、もちろん、フランスを旅行したり、フランス語圏で日常生活を送ったりすることには何の問題もない程度の語学力もついています。

ただ、こういうアンビシャスな目標を掲げる以上は、学ぶべき文法事項や覚えるべき語彙も、それなりの数になります。しかし、少なくとも、このウェブサイトで掲げているくらいの文法と語彙を覚えないと、実践で役立つ語学力とはいえないと思います。せっかくやるからには、ここまでやりましょう。そうしないと、せっかくやっても使い物になりませんから、結局大きな時間の無駄になってしまう、というのが私の考えです。

逆に、ここまでやり抜けば、何らかの形でフランスやフランス人とのリレーションができて、ひとりでにフランス語を読んだり聴いたりするようになりますので、フランス語力を維持することが容易になると思います。